
浄土真宗本願寺派(西本願寺)の葬儀に参列したとき、「旅支度の白装束がない」「焼香を押しいただかない」と気づいた方は少なくないはずです。
浄土真宗は「阿弥陀如来の本願によってすでに救われている」という教えを根本に置くため、他宗派に多い"あの世への旅支度"とは式の設えも所作も異なります。
この違いを知らずに撮影に臨むと、焼香の場面でシャッタータイミングを外したり、読経中に不用意な位置取りをしてしまったりすることがあります。
この記事では、浄土真宗本願寺派ならではの式の流れ・所作・祭壇の設えを踏まえ、写真記録を残す際の判断基準と配慮の要点を整理します。
なお、撮影許可の取り方や全体的なマナーについては、葬儀の写真撮影ガイドに詳しくまとめています。この記事は、浄土真宗本願寺派に固有の場面と配慮に絞ってお伝えします。
- 浄土真宗本願寺派の焼香は「押しいただかず1回」——他宗派と異なる理由と撮影タイミングへの影響
- 式の核心は「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」のお勤め——読経・念仏中が最も静かな撮影機会になる理由
- 残しやすい4場面(通夜祭壇・焼香の一礼・花入れ・出棺)と場面ごとの位置取りの目安
- プロ撮影の依頼は葬儀撮影サービス|燈(写真79,800円〜・動画98,400円〜、税別)に前日・当日でも相談可

監修者|高橋 丈太郎
葬儀業界歴3年。
葬儀現場での写真・動画撮影を100件以上担当し、通夜・告別式・家族葬など多様な形式の葬儀撮影を経験。現場理解と記録技術の両立を強みとしています。お葬式・葬儀撮影に関する正確で実践的な情報を発信しています。
浄土真宗本願寺派の葬儀はどんな式?
「旅支度」ではなく「報恩の式」です。
阿弥陀如来への感謝を中心に、お勤め(読経)と念仏で式が進みます。
浄土真宗本願寺派の葬儀は、「枕勤め(臨終勤行)→ 通夜 → 葬儀・告別式」という流れで行われます。
他宗派でよく見られる「白装束・杖・わらじ」「三途の川の渡し銭」は用いません。
「阿弥陀如来の本願によって救いはすでに届けられている」という浄土真宗の根本教義によるもので、送り出す準備より報恩感謝に式の重心があります。
式の核心は、住職が唱える「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」のお勤めです。
参列者もともに念仏を称える場面があり、会場が一体となって静かに手を合わせるこの時間帯は、実は祭壇や供花を落ち着いて撮影できる貴重な機会でもあります。
祭壇(須弥壇)は白・金・蓮をベースにした荘厳な設えが一般的で、旅支度の道具を置かない分、阿弥陀如来の掛け軸や仏花が空間の中心に据えられます。
| 場面 | 特徴 | 撮影のポイント |
|---|---|---|
| 枕勤め(臨終勤行) | ご逝去直後に住職が読経 | 故人とご家族の静かな時間。撮影は喪主さまと要相談 |
| 通夜 | お勤め(読経・念仏)を中心に進行 | 祭壇・供花・灯明の設えを残しやすい場面 |
| 葬儀・告別式 | 焼香・式辞・式中念仏 | 焼香の一礼の瞬間・参列者の後ろ姿・祭壇全体の雰囲気 |
| 出棺 | 最後のお別れ・花入れ | ご家族の後ろ姿・花入れの手元(引いた構図で配慮しながら) |
式の細部は寺院や葬儀社によって異なります。
事前に喪主さまか葬儀社に確認しておくと、撮影のタイミングを逃しにくくなります。

浄土真宗本願寺派の焼香の作法は?撮影でどう配慮するか
浄土真宗本願寺派の焼香は、抹香を額に押しいただかず1回が一般的です。
この所作のリズムを知っていると、「一礼」の瞬間に自然なタイミングでシャッターを切れます。
焼香は式の中で最も人の目が動く場面のひとつです。
撮影する側が作法を理解していないと、抹香を持ち上げた瞬間なのか、炉に落とす直前なのか、どこで押さえればよいか判断に迷います。
浄土真宗本願寺派は、抹香を額に押しいただかず、香炉に1回落とすのが一般的な作法です。
二回・三回と押しいただく宗派に慣れたカメラマンほど、「次の動作がない」ことに戸惑うことがあります。
炉に落とした後、合掌して軽く一礼して退く——この「一礼の瞬間」が、式を妨げずに所作を収めやすいシャッター機会です。
焼香が続く時間帯は参列者の動きが読みやすいため、次の方が動き始める前に立ち位置を整えておくと慌てません。
高橋 丈太郎浄土真宗の焼香で一番気をつけるのは「次の動作を待たないこと」です。
押しいただきがないので、炉に落とした直後に一礼して終わります。その一礼のタイミングを事前に把握しておくと、場の流れを止めずに所作をきれいに残せます。
浄土真宗本願寺派の葬儀で残しやすい場面はどこか
祭壇の設え・焼香の一礼・出棺の花入れが、この宗派の式で写真に残しやすい場面です。
読経・念仏の時間帯は式を妨げない静かな撮影が求められる一方、動きが少ない分じっくり構えられます。
浄土真宗本願寺派の式では、住職のお勤め(読経)と念仏が式の中心を担います。
この時間帯は参列者が静かに手を合わせているため、祭壇全体・供花・灯明のゆらぎを落ち着いて記録できます。
カメラのシャッター音が響きやすいため、サイレントモードを事前に設定しておくことが前提です。
出棺の場面では、花入れ(棺に花を入れるお別れ)がご遺族さまにとって深い意味をもつ時間です。
正面から大きく寄るより、少し引いた位置から手元や後ろ姿をとらえると、しめやかさを保ったまま記録できます。
葬儀撮影サービス|燈が撮影した葬儀でも、出棺前の花入れの場面を後から最も喜んでくださるご遺族さまが多くいらっしゃいます(葬儀撮影サービス|燈調べ)。
- 通夜・葬儀の祭壇(蓮の花・仏花・灯明の設え)——動きがなく、じっくり構図を整えられる
- 焼香の所作——炉に落とした後の「一礼」の瞬間がタイミングの目安
- 読経中の参列者の後ろ姿・手元(数珠)——動きが止まる場面で静かに撮れる
- 出棺前の花入れ・ご家族の手元——引いた構図で配慮しながら
- 出棺の見送り・棺を囲むご家族の後ろ姿——屋外に出るため光が安定しやすい
撮影前に確認すべきことは何か
撮影の許可は「喪主さま → 葬儀社・寺院 → 住職」の順に確認します。
浄土真宗本願寺派では、読経や念仏の最中の扱いについて住職に一言添えると安心です。
葬儀の撮影には、まず喪主さまのご了解が必要です。
その上で、会場(寺院や葬儀社)のルール、そして住職の考えを確認する流れが基本です。
浄土真宗本願寺派の式では、お勤め・念仏の最中に特に静粛が求められます。
「式を止めず、静かに記録させていただきます」という姿勢を先に伝えておくと、住職にも安心していただけます。
| 確認先 | 確認すること |
|---|---|
| 喪主さま | ご家族の記録として残してよいかの判断 |
| 葬儀社・寺院 | 会場内で撮影できる場所・立ち入り可否 |
| 住職(僧侶) | 読経・念仏中の撮影の扱い・位置取りの相談 |
許可を取る際は、「目的・撮る対象・方法(フラッシュなし等)・共有範囲」の4点を短く伝えると、相手も判断しやすくなります。
詳しい許可の取り方は葬式の写真撮影マナーと許可の取り方もあわせてご覧ください。


当日の撮影チェックリスト(浄土真宗本願寺派向け)
式前・式中・出棺の3段階に分けて準備しておくと、当日の判断が落ち着きます。
浄土真宗本願寺派の所作に合わせた確認ポイントをまとめました。
葬儀当日は慌ただしくなりがちです。
撮影の準備と確認事項を「式前/式中/出棺」の3段階で整理しておくと、肝心な場面で慌てません。
- 【式前】喪主さま・葬儀社・住職への許可確認を済ませ、撮影の立ち位置を葬儀社スタッフと共有する
- 【式前】カメラをサイレントモードに設定。フラッシュをオフにする
- 【式前】焼香の作法(押しいただかず1回)を頭に入れ、「炉に落とした後の一礼」でシャッターを切るタイミングを決めておく
- 【式中】読経・念仏中は位置移動を最小限に。祭壇の構図は念仏が始まる前に整える
- 【式中】参列者の顔を正面から大きく写さない。後ろ姿・手元(数珠)を基本の構図にする
- 【出棺】花入れが始まる前に棺の周囲から少し引いた位置に移動し、手元・後ろ姿を中心に記録する
参列者や住職が写る場合の配慮
参列者の顔が写る場合は、共有前に同意と範囲の確認が大切です。
住職への配慮は、事前の一言と撮影中の静かな立ち居振る舞いで十分です。
葬儀の写真には、参列者や住職が写り込む場面があります。
参列者の顔がはっきりわかる写真を共有する際は、事前の同意と共有範囲の確認が丁寧な対応です。
SNSなど不特定多数が見られる場所への投稿は控え、親族の範囲にとどめることを基本とします。
出典:個人情報保護委員会
住職が写る場合も、お勤め(読経)の最中に正面から大きく撮ることは控えます。
荘厳なお勤めの雰囲気を損なわないよう、側面や後方からそっと記録するのが配慮ある撮影です。
葬儀全体の撮影マナーについては葬儀の写真撮影ガイドでも詳しく解説しています。
葬儀撮影は「電話」もしくは「お問合せフォーム」からご依頼が可能です。
浄土真宗本願寺派の祭壇を写真に残す際のポイント
浄土真宗本願寺派の祭壇は、蓮の花・灯明・仏花が特徴的です。
阿弥陀如来の掛け軸や遺影との構図を丁寧に残すと、宗派の雰囲気が伝わる記録になります。
浄土真宗本願寺派の祭壇(須弥壇)は、中央に阿弥陀如来の掛け軸や仏像を安置し、蓮の花・灯明・仏花で荘厳に飾られます。
旅支度の道具を置かない清潔感のある設えが、この宗派の祭壇の大きな特徴です。
遺影を中心に、祭壇全体が入る構図と、供花や灯明の細部に寄った構図の両方を残すと、式の雰囲気が伝わりやすくなります。
灯明(ろうそく)のゆらめきや、白菊・蓮の花びらの質感は、後から見返したときに式の空気を蘇らせてくれます。
フラッシュは灯明の雰囲気を消してしまうため、自然光・利用可能な室内光を活かした撮影が祭壇の記録に向いています。
祭壇の撮影に関するポイントは葬儀の祭壇写真の撮り方もあわせてご参考ください。


プロのカメラマンに依頼するメリット
プロに任せると、ご家族は式に専念できます。
浄土真宗本願寺派の所作と式の流れを理解したカメラマンが、静かに記録を残します。
ご遺族さまが葬儀の場で撮影しようとすると、弔問対応や式の進行と気持ちが分散しがちです。
プロに任せることで、ご家族は故人との最後の時間に向き合うことに集中できます。
暗い会場での静音撮影、式を妨げない立ち居振る舞い、宗派ごとの所作に合わせたタイミングの見極めは、現場を重ねたカメラマンが持つ固有の経験値です。
葬儀撮影サービス|燈ではさまざまな宗派・形式の葬儀を撮影してきました。
式の記録は葬儀撮影の事例からご覧いただけます。
撮影を担当するカメラマンの人柄についてはカメラマン紹介でご確認いただけます。
まとめ:浄土真宗本願寺派の葬儀写真は、所作を知ることが配慮の第一歩
浄土真宗本願寺派の葬儀は、報恩感謝の教えに基づいた式です。
焼香の作法・読経と念仏の時間帯・祭壇の特徴を知っておくことで、式を妨げず宗派の雰囲気を大切にした記録が残せます。
- 焼香は額に押しいただかず1回——炉に落とした後の「一礼」がシャッターの目安
- 読経・念仏の最中はサイレントモードで静かに撮影し、位置取りを事前に住職に伝える
- 祭壇・焼香の所作・出棺の花入れが残しやすい節目の場面
- 参列者の顔が写る写真は共有前に同意と範囲を確認する
- プロへの依頼で、ご家族は見送りに集中できる
浄土真宗本願寺派の葬儀撮影に関するよくある質問
- 浄土真宗本願寺派の焼香は何回するのですか?
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浄土真宗本願寺派では、抹香を額に押しいただかず香炉に1回落とすのが一般的な作法とされています。
他宗派では2〜3回押しいただく場合があるため、参列前に確認しておくと当日に戸惑いません。
作法の細部は寺院によって異なる場合があるため、不安な方は葬儀社にご確認ください。 - 読経や念仏の最中に撮影してもよいですか?
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撮影できるかどうかは式場や住職の判断によります。
事前に「静かに記録させていただきます」と姿勢を伝えておくと、住職や式場スタッフも安心してくださることが多いです。
サイレントモードの使用と、式を妨げない位置取りを守ることが前提です。 - 浄土真宗の葬儀では白装束や旅支度は使いませんか?
-
浄土真宗では「旅支度(白装束・三途の川の渡し銭など)」は用いないのが一般的です。
「阿弥陀如来の本願によってすでに救われている」という教えに基づき、旅立ちの装束ではなく報恩の式として営まれます。
そのため祭壇にも旅支度の道具は置かれません。地域や寺院によって慣習が異なる場合があります。 - 浄土真宗本願寺派と大谷派(東本願寺)で撮影の配慮は変わりますか?
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両派ともに「押しいただかない焼香」「旅支度なし」という点は共通していますが、焼香の回数(本願寺派は1回・大谷派は2回が一般的)や祭壇の荘厳の細部に違いがあります。
式を担当する住職や葬儀社に作法を事前に確認しておくと、タイミングを外さずに撮影できます。 - 浄土真宗の葬儀を動画で残す場合、読経の音声は記録してよいですか?
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読経・念仏の音声を記録することは、一般に禁止されているわけではありません。
ただし、JASRACが管理する声明・仏教音楽が含まれる場合は別途確認が必要なケースがあります。
不特定多数への公開を予定する場合は、事前に葬儀社か住職にご確認ください。
親族の範囲での視聴にとどめる場合は、一般に問題になることはほとんどありません(葬儀撮影サービス|燈調べ)。


監修者|川人 大展
葬儀業界歴5年。
葬儀社にて現場運営やご遺族対応、式場管理を担当してきました。「葬儀撮影サービス|燈」では、進行やご遺族の心情に配慮した表現を監修し、実務経験に基づく正確で信頼できる情報発信を支えています。
「宗派別」のお役立ちコラム
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