浄土真宗大谷派の葬儀撮影|お焼香の作法と記録

浄土真宗大谷派の葬儀撮影|お焼香の作法と記録

浄土真宗大谷派(真宗大谷派)の葬儀に特有の難しさは、「阿弥陀如来への帰依」という独自の教義が所作のすみずみに反映されている点にあります。
お焼香を額に押し頂かないこと、法名軸が位牌の代わりに置かれること、念仏の節々に鈴の音が響くこと——これらを知らずに臨むと、撮るべき瞬間を別の作業中に見逃してしまいます。

この記事では、浄土真宗大谷派の葬儀を記録として残すために必要なお焼香の作法・式の進行・撮影上の配慮点を、現場の実際に即して整理します。
「どの所作を残すべきか」「炉前は撮れるのか」「当日どう動けばよいか」を事前に把握しておくことで、ご遺族さまが見送りに専念できる環境を整えられます。

撮影の技術論より前に、「この宗派の式がどう動くか」を理解することが、大切な場面を自然に記録するための出発点です。

この記事でわかること
  • 浄土真宗大谷派のお焼香は「額に押し頂かず2回」——他宗派と最も異なる所作と、その撮影タイミング
  • 東本願寺を本山とするこの宗派では、位牌ではなく「法名軸」が祭壇に置かれる
  • 炉前撮影の可否は法律ではなく施設規則で決まり、事前の書面確認が唯一の方法
  • 葬儀撮影サービス|燈の葬儀撮影は写真プラン79,800円〜・動画プラン98,400円〜(税別)、東京23区は出張費無料

本記事の執筆者
葬儀撮影サービス|燈の監修者・高橋丈太郎が屋外で微笑むポートレート、葬儀撮影の執筆者紹介用

監修者|高橋 丈太郎

葬儀業界歴3年。
葬儀現場での写真・動画撮影を100件以上担当し、通夜・告別式・家族葬など多様な形式の葬儀撮影を経験。現場理解と記録技術の両立を強みとしています。お葬式・葬儀撮影に関する正確で実践的な情報を発信しています。

目次

浄土真宗大谷派の葬儀はどのような式ですか?

「送り出す」のではなく「ともに念仏を唱える」法要として式が進みます。
東本願寺(京都)を本山とし、親鸞聖人の教えを根幹に置きます。

浄土真宗大谷派(真宗大谷派)は、「故人はすでに阿弥陀如来の本願によって浄土へ迎えられた」という教義を礎にしています。
そのため葬儀は「悲しみの場」より「帰依の感謝を表す法要」の色が濃く、式中はほぼ一貫して「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の念仏と僧侶による読経が続きます。

撮影者の観点でとくに重要な特徴は三点あります。
第一に、鈴(りん)が読経の節目で鳴らされるため、音が式の「句読点」になること。
第二に、「戒名」ではなく「法名」が授けられ、祭壇には位牌でなく法名軸・過去帳が置かれること。
第三に、阿弥陀如来の絵像または木像が中央に安置されるため、祭壇の構成が他宗派と異なること。
これらを把握しておくと、読経中に祭壇と焼香台のどちらに意識を向けるかを、現場で迷わず判断できます。

確認項目浄土真宗大谷派の特徴
本山・本尊東本願寺(京都)・阿弥陀如来立像
式中の念仏「南無阿弥陀仏」を繰り返す。鈴の音が節目
法名・戒名「法名」(戒名とは呼ばない)
位牌の扱い本来は位牌を使わず、法名軸・過去帳
お焼香の回数一般的に2回(額に押し頂かない)

ただし、地域の慣行や寺院・ご家族の意向によって細部が異なることがあります。
当日の式の進行は、撮影前日までに葬儀社または喪主さまへ確認しておくと、場面を見逃しにくくなります。

出典:真宗大谷派(東本願寺)公式サイト

並ぶ供花

お焼香の作法はどう違う?撮影で押さえるべき場面は?

浄土真宗大谷派のお焼香は「額に押し頂かず、2回」が一般的な作法です。
「押し頂かない」という所作そのものが、この宗派を象徴する記録の場面になります。

多くの宗派では、抹香を指でつまんで一度額の近くまで押し頂いてから香炉に入れます。
浄土真宗大谷派ではこの動作を行いません。
抹香をつまんだらそのまま香炉へ——この「押し頂かない」一連の所作が、参列した方々にとって宗派の違いを実感する瞬間でもあります。

回数は2回が一般的ですが、寺院や地域の慣行によって1回とする場合もあります。
事前に葬儀社や喪主さまへ確認しておくと、何回目の動作で焦点を合わせるかを判断しやすくなります。

焼香の流れと撮影のタイミング

  1. 焼香台に進み、阿弥陀如来像・法名軸に向かって合掌・礼
  2. 抹香をつまみ、額に押し頂かずそのまま香炉へ(2回)
  3. 合掌して念仏を心のなかで称え、礼をして退く

撮影の観点では、参列者が焼香台へ進む瞬間・手元・退く際の後ろ姿が記録に向いています。
正面から顔を大きく写すのではなく、やや斜め後方から「動作の流れ」をとらえると、所作の意味が伝わる記録になります。
宗派固有の所作を事前に知っておくことで、1回目と2回目のどちらに絞るか、現場で迷わず判断できます。
葬儀での撮影マナーと許可の取り方については葬式の写真撮影マナーと許可の取り方もあわせてご覧ください。

高橋 丈太郎

浄土真宗の焼香は「押し頂かない」ので、他宗派を撮り慣れているカメラマンほど意識しないと手元を追い損ねることがあります。
2回目に抹香を落とす瞬間をとらえると、この宗派らしい記録が残ります。

式の進行と撮影できる主な場面は?

通夜・葬儀・告別式を通じて、法名軸と阿弥陀如来像を中心とした祭壇・読経・焼香・出棺が記録の核心です。
鈴(りん)が響く瞬間が、式の節目を体感的に知らせてくれます。

浄土真宗大谷派の葬儀は、通夜(おそや)と葬儀・告別式の2日間構成が一般的です。
式中は僧侶による読経と念仏が途切れず続き、鈴が鳴るたびに式の流れが切り替わります。
この「鈴の音 = 節目」を体で覚えておくと、読経中に次の動きを予測しながら位置を調整できます。

また、祭壇には白菊や灯明とともに法名軸・阿弥陀如来像が据えられるため、式前後の静かな時間に祭壇を記録しておくと、後から「どういう式だったか」を伝えやすくなります。

場面撮影の観点
通夜(おそや)法名軸・阿弥陀如来像を含む祭壇全景、灯明の光
葬儀(読経・焼香)僧侶の読経・鈴の前後・参列者の焼香の手元・後ろ姿
告別式・出棺花入れの場面、棺を見送る後ろ姿

読経の最中は、僧侶の動きを視野の端に置きながら、少し引いた位置で式全体を見渡せる立ち位置をとると大切な場面を逃しにくくなります。
フラッシュは使わず、式場の灯明や間接照明を活かした撮影が、浄土真宗大谷派の祭壇の雰囲気に最も合います。

当日の動き方:宗派固有の場面を見逃さないための手順

浄土真宗大谷派の式は「鈴で区切られた読経の連続」です。
到着から出棺まで、動き方をあらかじめ組み立てておくと、撮り逃しを防げます。

葬儀撮影サービス|燈が浄土真宗大谷派の葬儀に臨む際は、おおむね以下の段取りで動いています(葬儀撮影サービス|燈調べ)。

  • 式の30〜45分前に到着:祭壇全景と法名軸・阿弥陀如来像を落ち着いて撮る。式が始まると正面への移動が難しくなる
  • 僧侶入場〜開式:鈴の最初の一打を基準に読経のリズムをつかむ。第一声の読経は節目になることが多い
  • 焼香の列が動き始めたら:焼香台の斜め後方(45〜60度)に移動し、手元と後ろ姿が同時にとらえられる位置を確保する。「押し頂かない」動作は一瞬なので、構図を決めてから待つ
  • 読経が続く間:会場全体と僧侶の姿を広角でおさえつつ、鈴が鳴るたびに焦点をリセットする
  • 出棺前の花入れ:ご遺族さまが棺に花を入れる場面は、この式で最も個人に寄った記録になる。直前に喪主さまへ立ち位置の確認を

宗派の進行を知っていれば、次に何が起きるかを予測しながら動けます。
初めて浄土真宗大谷派の式に入る場合は、葬儀社に「式次第の紙をもらえるか」と事前に依頼しておくと安心です。

通夜の灯りと白い花

火葬場や炉前での撮影はできますか?

炉前の撮影は、法律ではなく施設の規則と周囲への配慮で原則不可とされています。
希望がある場合は、葬儀社を通じた書面または口頭での事前確認が唯一の方法です。

「炉前での最後のお別れを記録に残したい」というご要望は、葬儀撮影サービス|燈にも寄せられます。
多くの火葬場では、同時刻に別のご遺族も施設を利用していることから、炉前での撮影を原則として断られます。
これは墓地埋葬法などの法律が一律に禁止しているわけではなく、各施設が独自に定めた運用規則によるものです。

どうしても記録に残したい場合は、式の前日までに葬儀社へ申し出て、施設への確認を依頼してください。
当日の口頭依頼では間に合わないことがほとんどです。
炉前撮影の確認手順については火葬場での写真撮影の可否と許可手順で詳しく解説しています。

炉前撮影に関する確認のポイント
  • 依頼は葬儀社を通じて、式の前日までに行う(当日では間に合わないケースが多い)
  • 許可が出る場合でも、他のご遺族が同じ施設にいる状況では追加の配慮が必要
  • 許可が得られない場合は、式場での出棺前・花入れの場面を丁寧に記録する

参列者の写り込みはどう扱えばよい?

参列者の顔が写る写真は、共有前に同意と共有範囲の確認が必要です。
「禁止か否か」より「誰が管理し、どこまで共有するか」を式の前に決めておく方が、実務上はるかに重要です。

葬儀の場では、焼香の列や着席の状態でさまざまな方の顔が写り込みます。
後から写真を共有する際に「自分が写っているとは知らなかった」という行き違いが生じないよう、撮影前に喪主さまと共有方針を確認しておくことが大切です。

具体的には、SNSなど外部への公開は控え、ご家族・ご親族の範囲にとどめることが一般的な判断です。
浄土真宗大谷派の葬儀は参列者が多くなりやすい傾向があり(地縁・門徒のつながりから)、写り込む人数が増えるほど共有範囲のコントロールが重要になります。
葬儀撮影サービス|燈が撮影した葬儀では、事前に「家族内共有のみ」と決めておくことで、当日の撮影が落ち着いたものになるとご遺族さまから聞くことが多くあります(葬儀撮影サービス|燈調べ)。

出典:個人情報保護委員会

葬儀撮影を依頼する

葬儀撮影は「電話」もしくは「お問合せフォーム」からご依頼が可能です。

祭壇や供花はどう撮ればよい?

浄土真宗大谷派の祭壇は「阿弥陀如来像+法名軸+灯明」が特徴的な構成です。
式前後の静かな時間を使い、フラッシュなしで灯明の温かみごと残すのが適しています。

浄土真宗大谷派の祭壇は、中央に阿弥陀如来の絵像や木像が安置され、両脇に蝋燭と花が供えられます。
法名軸(白地に金文字のものが多い)は阿弥陀如来像の脇に立てられ、位牌が置かれることが通例の他宗派とは異なる構成です。
この構成を広角でおさえておくと、「この式がどういう宗派のものか」が後から一枚で伝わります。

祭壇の記録は、参列者が着席してから式が始まるまでの数分間、または告別式終了後が狙い目です。
フラッシュを使うと灯明の光が飛んでしまうため、式場の間接照明と灯明だけで撮影すると、浄土真宗大谷派の祭壇らしい静謐な雰囲気をそのまま記録できます。
祭壇撮影の詳しい方法については葬儀の祭壇撮影もご参考ください。

葬儀の祭壇と白菊

プロに依頼するとどう違う?葬儀撮影サービス|燈のサービスは?

宗派の所作を知っているカメラマンと、そうでないカメラマンとでは、記録に残る場面の数が変わります。
葬儀撮影サービス|燈では浄土真宗をはじめ複数の宗派の式を担当してきました。

ご家族が自ら撮影すると、弔問の対応や式の進行への気配りと撮影が重なり、どうしても焦点が定まりません。
プロのカメラマンに委ねることで、ご遺族さまは故人との最後の時間に向き合うことができます。

浄土真宗大谷派の式でとくに重要なのは、「押し頂かない」焼香の動作・念仏に合わせた鈴の前後・出棺前の花入れの三点です。
これらを式の流れのなかで迷わず記録するためには、宗派の所作を事前に理解しているカメラマンが向いています。
実際の撮影の様子は葬儀撮影の事例でご覧いただけます(葬儀撮影サービス|燈調べ)。

葬儀撮影サービス|燈の葬儀撮影プランについて

式の記録を写真で残したい方、念仏や読経の声ごと動画で残したい方、それぞれのご希望に合わせてお選びいただけます。

東京23区は出張費無料。その他の地域はご相談ください。
カメラマンについては撮影者の紹介ページでご確認いただけます。

まとめ:浄土真宗大谷派の葬儀撮影で知っておきたいこと

浄土真宗大谷派の葬儀は、「阿弥陀如来への帰依」という教義が所作の端々に現れた、静謐で独自性の高い式です。
宗派固有の流れを理解したうえで撮影に臨むことで、大切な場面を自然に、かつ敬意をもって記録できます。

  • お焼香は「額に押し頂かず、2回」——この動作がこの宗派を象徴する記録の瞬間
  • 法名軸・阿弥陀如来像を含む祭壇は、式前後の静かな時間にフラッシュなしで記録する
  • 鈴の音を式の節目と覚えておくと、次の動きを予測しながら立ち位置を変えられる
  • 炉前は施設規則で原則不可。希望する場合は式の前日までに葬儀社を通じて確認する
  • 参列者の写り込みは、共有範囲を式の前に喪主さまと決めておくことで安心して扱える
  • プロへの依頼で所作を知るカメラマンが記録を担う。葬儀撮影サービス|燈では写真79,800円〜・動画98,400円〜(税別)

浄土真宗大谷派の葬儀撮影に関するよくある質問

浄土真宗大谷派のお焼香は「押し頂く」のですか?

押し頂きません。抹香をつまんだらそのまま香炉へ落とすのが浄土真宗大谷派の作法です。
他宗派では一度額の近くまで持ち上げてから入れる動作(押し頂く)を行いますが、この宗派では省きます。回数は一般的に2回です。

浄土真宗大谷派の葬儀に位牌はありますか?

本来、浄土真宗では位牌を使いません。祭壇には「法名軸」(白地に金文字の掛け軸)や「過去帳」が置かれます。
ただし、地域や家庭の慣習によって位牌が置かれる場合もあるため、撮影前に喪主さまへ確認しておくと式の記録を整理しやすくなります。

撮影の許可は誰に、どの順番で取ればよいですか?

まず喪主さまへご了解をいただき、次に葬儀社・式場、そして僧侶(住職)の順に確認します。
「家族の記録として、祭壇を中心にフラッシュなしで撮らせていただきます」のように、目的・対象・方法の三点を短く伝えると判断がスムーズです。

遠方の門徒や親族が参列できなかった場合、式の様子を動画で届けられますか?

はい。念仏・読経・弔辞など声と時間の流れを含めて残せる動画は、参列できなかった方に式の空気を届ける手段としても活用されています。
葬儀撮影サービス|燈の動画プランは98,400円〜(税別)です。詳しくは動画撮影プランのページをご覧ください。

葬儀の写真撮影全般について知りたい場合はどこを見ればよいですか?

葬儀写真の許可の取り方・費用・流れ・当日の注意点など、基本をまとめたページをご用意しています。
葬儀の写真撮影ガイド(総合)をあわせてご覧ください。

本記事の監修者
葬儀撮影サービス|燈監修の川人大展が公園で微笑む肖像、葬儀撮影の専門家として紹介

監修者|川人 大展

葬儀業界歴5年。
葬儀社にて現場運営やご遺族対応、式場管理を担当してきました。「葬儀撮影サービス|燈」では、進行やご遺族の心情に配慮した表現を監修し、実務経験に基づく正確で信頼できる情報発信を支えています。

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